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葉産後の情緒不安

「産後の情緒不安」

戸村みゆき, MA

Mental Health Counselor

 

 

I.妊娠中の女性の心理 

1)「!!」から始まるお母さんの心、そして親としての責任感

2)出産に向けて心の準備、でも見えてきにくい赤ちゃんとの生活。

母性本能」で乗り切れる?!と思いきや...育児ってホントに大変!人間の子育てはもっと複雑だからです。

 

II.出産という経験 

1)出産ってどんな感じ?:

「素晴らしい」から「最悪」まで...痛みも経験も千差万別。でも無事に生まれた時の「安心感」は共通の感情。

2)出産の経験は分娩の方法や状況、そして産婦の社会的背景によっても変わってきます。

 

III.産後の心理 

私たちの社会では、都市化・核家族化などにより隣近所との付き合いも減り、出産と産後の女性の生活のリアルな様子が見えにくくなっています。赤ちゃんの誕生という喜ばしい出来事も、その家族にとっては大きな変化であり、ある意味では「クライシス」です。クライシスにはストレスがついてきます。そしてお母さんは分娩による体力の消耗、育児による疲労感や睡眠不足を経験します。アメリカの病院では退院が早いこと、核家族化のために周りからのサポートが少ないこと、そして慣れない育児に追われお母さんの身体と心が消耗する条件が揃っています。 

おっぱいやミルクを上手に飲めない、よく泣く、ひとり寝が苦手な赤ちゃんも多いのです。そしておっぱいが出ない、少ない、または乳腺炎などに悩むお母さんもいらっしゃいます。慣れない育児からくる不安感や睡眠不足に加えてそうした悩みに苦しむお母さんたちの生活は本当に大変...まるで嵐が来たみたいな産後の生活です。

 

IV.産後の情緒不安 

Postpartum Mood Disorder/産後の情緒不安の種類

 

マタニティブルー

Baby Blue

産後の鬱、産後の不安神経症

Postpartum Depression、Postpartum Anxiety Disorder

産後の精神病

Postpartum Psychosis 

昔からあった妊婦・産婦の情緒不安・・・ギリシャ文明時代にも観察されていました。現在も産婦の80%が経験すると言われます。その割にあまりオープンに語られることがない分野です。

 

A)産後のブルー;「感情のジェットコースター」 

産後一日か二日後に始まり、2、3週間続くのが典型的です。このころはただの「ブルー」なのか、鬱病なのかの見分けはつきにくいのです。 

症状は次の通り:

l        至福感から気分の落ち込みまでの感情の上下  涙もろくなる  イライラする 

l        子どもが無事に育つか心配になる  育児に自信が持てない育児も含めて何もしたくなくなる 

自分がブルーだな、と気づいたらどうすればよいのでしょう? 

ü        ほとんどの産婦がブルーになることを思い出しましょう。産後しばらくは気分が不安定になることは当たり前なのです。

ü        そしてこれらの感情の波について否定的な気持ちにならないようにしましょう。イライラしても、育児が辛くてもそれはあなたが「ダメな母親」だからではありません。

ü        とにかく休みましょう。産後数週間は分娩からの回復期です。自分を労ることが早く元気になる早道です。

 

B)産後の鬱、産後の神経症 

産婦の10から15%の人が経験します。普通の鬱病・神経症の症状が産後に出てくる状態のものです。出産・育児のストレスが引き金になると思われます。産後一ヶ月以内に出ることが多いですが、産後一年くらいはかかりやすい時期だと言う研究者もいます。しばらくは自分の心と身体をモニターするとよいでしょう。 

鬱病の症状:

l        気分の落ち込み  何にも面白味を見出せない  体重が急に増えたり減ったりする

l        睡眠障害、動作が極端に鈍くなる  極度の疲労感  自分を責める

l        集中力の無さ・考えがまとまらない  自殺願望

 

次の症状がある人はすぐに専門家に相談しましょう 

→ 自分や赤ちゃんに危害を加えそうな気がする

→ 自分が死にたくなったり、赤ちゃんを死なせてしまう気がする

→ 幻覚/幻聴がある

→ 自分の存在に現実感が無くなっている場合

→ 72時間以上眠れていない場合

 

神経症の症状: 

l        さまざまな事柄に関して過剰な不安や心配をする  不安や心配をコントロールできない

l        不安や心配が次の事柄を引き起こす‐落ち着きの無さやせっぱ詰まった感じ、‐すぐに疲労感を感じる、‐集中力の無さ、‐イライラする、‐筋肉の緊張、‐よく眠れない 

l        心臓がどきどきする  手足が震える  呼吸がうまくできずに死んでしまいそうな感じがする

 

次の症状のある人はすぐに専門家に相談しましょう 

→ 不安で赤ちゃんの世話ができない

→ 衝動的に自分や赤ちゃんを傷つけてしまいそうな気がする

→ 不安で食べられない、または眠れない 

 

C)産後の精神病 

1000人に1人か2人というまれな状態です。先に述べた鬱病の症状に加えて次の症状が出ます: 

l        幻覚・幻聴(見えるはずの無い物、聞こえるはずの無い声や音が聞こえる)

l        妄想(間違った考え  例;「誰かに見張られている」)

l        支離滅裂な言動 

このような状態が産後一日目から30日ほど続きます。一刻も早く治療を始めなくてはなりません。入院での治療になるでしょう。

 

2)産後の情緒不安(ブルー)はなぜ起こる? 

a)身体の変化:陣痛・分娩の身体的ストレス、血液量・血圧・免疫力・新陳代謝・ホルモン量の急激な変化により身体的な強い不安定感。 

b)身体的・心理的な疲労感:分娩では大変体力を消耗しますが、産婦は「出産は病気ではない」ことから「休む」ことに後ろめたさを感じてしまいます。そして睡眠不足と慣れない育児に追われるための慢性的な疲労感。 

c)社会的アイデンティティの変化:「いきなり」1児(2児、3児)の母になり、これまでの身体的、精神的自由を失います。四六時中アテンションを要求する新生児との生活はストレスフルで、慣れるには時間を労力を必要とします。

 

3)産後の鬱や神経症には誰がかかりやすいの? 

a) 遺伝:血縁の近い親族に鬱病になった人がいる場合は鬱病にかかる可能性が    高い。 

b) 以前に鬱病や神経症にかかったことのある人 

c)産婦の人間関係とサポートシステム:夫やパートナー、周りの人たちとの人間関係は産前産後の産婦の心理に影響を与えます。周りのサポートが得られにくい場合、鬱や神経症にかかる可能性が高まります。 

d)産前産後にストレスが大きい生活をする:妊娠や出産の異常、引越し、親しい人の死などの経験は産婦の心理に影響を及ぼします。 

e)性格:まじめで完璧主義、自分や他者に批判的、あるいは責める、物事を否定的に見るタイプ、自分の計画どおりに事が進まないと嫌なタイプは産後に限らず鬱病になり易い。

 

4)夫やパートナーは妻のブルーをどう受け止めているの?

とても地味なお父さんの役割・・・主役は赤ちゃん、準主役はお母さん、そしてお父さんは「名(迷?!)脇役」。お母さんの育児支援は活発ですが、お父さんの育児をサポートする機関はほとんどありません。お父さんも家族を支える責任感とストレスを感じているはずですが、そんな気持ちをシェアする場が少ないのです。ブルーな気分や鬱病に悩むお母さんに不甲斐なさを感じたり、時には怒りを感じることもあるかもしれません。これまで元気だった妻が産後の大切な時に「何もしたくない」とか「もう死んでしまいたい」なんて言い出すと、お父さんは何がなんだか理解できずに不安感や恐怖感を持つこともあるでしょう。そうした意味からもお母さんは自分の心身を含めた健康管理をする責任があります。

 

V.メンタルヘルス 

心の不調は身体の不調と同じく早期発見早期治療がカギになります。特に鬱病は適切な治療で治りやすいと言われています。お母さんの気分の不調はご主人、赤ちゃん、上の子どもさんにも影響を及ぼします。気分がすぐれない時、1人で悩むよりも専門家に相談することでよりよい解決策が見つかることがあります。 

1)治療法

鬱病・神経症の治療としては a) 薬(医師や看護士の処方)、b) 心理療法(精神科医、精神科の看護士、心理カウンセラーによるTalkTherapy)、そ  して  c)薬+心理療法のコンビネーション、があります。一般に「薬+心理療法」の組み合わせが一番効果的だと言われています。 

2)Talk Therapy (カウンセリング)を行うメンタルヘルスの専門家を訪ねる

 

普通次のような事が聞かれます:症状や悩みの内容、これまでの精神的問題の歴史、病歴、ケミカルアディクションの歴史、家族の病歴、現在の家族や生活の様子など。 

自分にあった方法やセラピストを選びましょう。セラピストを決める前に学歴や経験を尋ねるのもいいでしょう。 

 

VI. 情緒不安に対抗しましょう:セルフヘルプ 

ü        運動:適度な運動は鬱病の治療に効果があります。 

ü        適切な栄養:バランスよく食べて、砂糖、カフェイン、アルコールを控えましょう。 

ü        休息:家事を手抜きする工夫をしてよく休みましょう。

ü        人間関係を適度に活発に:赤ちゃんと2人で過ごしていると、大人の言葉での会話をしないまま一日が過ぎることがあります。人と話しをしましょう。電話での会話も効果的。 

ü        ストレスを減らす努力を:家事をしてくれる人を雇ったり、子どもを預けたりするのも手です。特に鬱病の治療には本人の時間と労力を必要とします。鬱病にかかってしまったら、治すことに専念しましょう。 

ü        日頃から自分なりのストレス解消法を見つけておく:子どもが小さいうちは短時間で気分がリフレッシュするストレス解消法をとるのがよいでしょう。アロマセラピー(好きな香りのエッセンシャルオイルをお風呂に入れる、または部屋の香料として使う)を楽しむ、美容院に行く、マッサージをお願いする、などもいいでしょう。アロマセラピーは鬱などの心理的な悩みから、更年期の症状や生理痛など婦人科特有の悩みにも効果があると言われています。しかし妊娠中に は使用してはいけないオイルもあるので注意してください。産後の数ヶ月は四六時中赤ちゃんに尽くす生活です。お母さんも、自分の体と心をケアすることで リヴァイタライズする必要があります。例えばヘアカットやマッサージなどは誰かに「ケア(世話を)してもらう」という体験で日常生活から離れて思い切りリフレッシュすることができるという点でお勧めです。 

 

**妊娠中に使用してはいけないと言われるエッセンシャルオイル:

Bay, Basil,Clary Sage, Comfrey, Fennel,Hyssop, Juniper, Marjoram, Melissa, Myrrh, Rosemary, Sage, Thyme,など。

(参考: Essential Aromatherapy by C. McGilvery and J. Reed)

 

これから出産をひかえた方にはご無事な出産を、そしてお子さんがいらっしゃる方にはよりよい親子関係をお祈りしています。そして是非マタニティブルーについてご主人やパートナーともお話しになってください。

 

 

戸村みゆき, MA in Psychology 

2105 112th Ave. NE. #200

Bellevue, WA 98004

(425) 427-0893

miyukitomura@comcast.net

   

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