アメリカで健康に暮らしたい女性のために
第二章:妊娠したい人のために
妊娠にそなえて
ひとりの人間をこの世に誕生させることほど大切なことはありません。もちろん人間の力で出来ることには限りがありますし、最善を尽くしても完全なあかちゃんが産まれるという保証はないのですが、だれでも自分の子供にはできるだけのことをしてあげたいと思うものです。妊娠する前にしておいたほうが良いことをいくつか説明してみましょう。
アメリカの統計では、産まれて来る赤ちゃんのうち、二人に一人は予想外の妊娠の結果だったといいます。こうした場合、妊娠と気がつく頃にはもう妊娠5週から8週ぐらいになっていて、そのころには赤ちゃんの身体の大切な器官がほとんどできあがってしまっています。したがって、妊娠する可能性のある女性は、日頃からいつ妊娠しても良いように考えて生活をすることが奨められます。
アメリカで最近さかんに言われるようになったのが脊椎破裂症の予防です。葉酸(Folic Acid)というビタミンを毎日飲んでいると、この異常の起こる率が下がることがわかっています。Institute of Medicine の発表では、脊髄破裂症の予防のために、妊娠する可能性のある女性は一日に600マイクログラムの葉酸を取ることが奨励されています。ふつうに食事で取る量では足りないことが多いのですが、薬局で簡単に買うことができるので、妊娠するかもしれない人は毎日飲みましょう。脊椎は、生理が遅れた頃にはもうできているので、妊娠とわかってからでは予防効果がないのです。
たばこは良くありません。婦人科定期検診に来る女性でたばこを吸う人がいると、必ずたばこの害についてお話することにしています。若い人には、まず、あと何年したら子供を産もうと考えていますか、と聞き、答えていただくと、そのときまでに完全に禁煙しましょうね、と約束します。たばこを吸っていると、まず、妊娠したい時に子供ができないことがあります。たばこをたくさん吸う人は、一年以内に妊娠する確率が2割ほど低くなります。妊娠した時には、こんどは子宮外妊娠の確率が、吸わない人の2倍から4倍も多くなります。子宮外妊娠は、手遅れになると生死にかかわる大変な異常です。普通に妊娠したとしても、流産や死産の可能性が高くなります。未熟児が産まれる可能性も高くなります。また、普通に産まれたとしても、呼吸器系の病気になることが多く、原因不明の乳児突然死の起こる率も吸わない人の3倍ぐらい高くなります。どうしても自分だけで止められない人のためには薬もありますので、相談してみてください。
アルコールも避けたほうが無難です。毎日多量にアルコールを飲んでいると特有な顔つきをした胎児アルコール症候群の子供が産まれます。こうした子供は知能の遅れと共に、教えても善悪の区別が付かない行動異常を持っていて、アメリカ社会の大きな負担となっています。それほど毎日でなくても、また、あまり多量に飲まなくても、産まれた子供にかなり深刻な行動異常の出ることもあります。現在のところ、アルコールを飲んでも安全な量というのはわかっていないので、完全に飲まないでいられればそれに越したことはありません。
極端にやせすぎた人や太り過ぎた人は妊娠する前に体重の調整をしておきましょう。太っていると妊娠中毒症や妊娠性糖尿病などの合併症を起こしやすく、あまりやせているとなかなか妊娠できなかったり、低体重児が産まれたりします。これを機会に健康な食生活や、適度な運動の習慣をつけておくと妊娠中と限らず、生涯役に立ちます。
妊娠を考えている人が受けておいたほうが良い血液検査がいくつかあります。妊娠初期に風疹と言う病気にかかると奇形児が産まれます。風疹の抗体が出来ていない人は妊娠中にかかる可能性があるので一応調べてもらいましょう。もし陰性の場合、風疹の予防接種を受けても良いのです。もし、予防接種をうけたら、その後3ヶ月ほど確実に避妊する必要があります。また、家族に糖尿病が多く、太る傾向にある人は、念のために血糖も調べてもらいましょう。妊娠のごく初期に血糖値が異常に高いと奇形児ができるからです。貧血の検査もしておきましょう。妊娠すると普通でも少し貧血傾向になりがちなので、あらかじめ貧血の人は直しておきましょう。エイズの検査もアメリカでは奨められています。エイズのビールスに感染しているとわかれば、薬を飲むことによって、胎児に感染するのをかなり防ぐことができるからです。
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