女性のための定期検診
なでしこクリニックでは、思春期から更年期過ぎの女性のために女性のための定期検診を行っています。一般身体検査、血液検査、子宮癌の検診、乳癌の触診、などに加えて、必要に応じてレントゲン、超音波などの検査を検査室に依頼します。日本で行われている女性のための人間ドックとほぼ同じ内容になります。大概の健康保険には一年に一回のこの検査が含まれています。
日本人の中には、結婚して妊娠するまで産婦人科にかかったことがないという人も多いかと思います。アメリカでは、18歳になったら、また、それより若くても性交渉を持つようになったら、それ以後毎年、婦人科検診を受けることが常識になっています。今回は、なぜ女性のための定期検診を受けることが奨められているのかを説明し、婦人科にかかったことのない人のために、簡単に検診の内容と様子を書いてみたいと思います。
アメリカでは自分の健康を自分で守るという考え方が強いので、日本みたいに「さあ皆さん、45歳以上の方は、子宮ガンの検診に来て下さい」と保健所から通知が来るようなことはないのです。自分で予約を取って、何をしてほしいのか自分で要求しないといけません。女性のための定期検診の目的は多様で、年齢、健康状態、妊娠を望むか望まないかなどによって違います。一般的には、子宮ガンの検診、乳ガンの検診、避妊法の処方、性病の検査、その他の婦人科疾患の検査などが含まれます。また、検診は健康教育の機会でもあります。婦人科疾患だけでなく、心身の健康一般について話し合う機会にもなっています。
もちろん、婦人科の異常があるときにはその旨を説明して、早めに予約を取りましょう。下腹部の強い痛み、膣のかゆみ、異常出血、異常なおりもの、乳房のしこり、ひどい生理痛、膀胱炎などは、婦人科で検査する必要があります。性病にかかった可能性のある場合も早めに検査を受けましょう。妊娠を予定している場合には、妊娠する前に検診を受けて、最善の健康状態で妊娠に備えるのが良いでしょう。
検診の予約を取るときには生理が終わって一週間ぐらいの日を選んで下さい。生理中だと子宮ガンの検診の精度に影響します。また、検診の日の三日前からカンジダの薬など膣内に入れる薬は止め、膣内洗浄なども避けましょう。予約を取ると、家族歴、既往歴、病歴などの質問紙をあらかじめ自宅まで送ってくることもあります。初めての検診の人はこれを機会に、家族にどんな病気があったのか、また、子供の頃どんな病気をしたのかなど、一度ご両親に良く聞いておくと良いかと思います。緊張して、聞きたいことを忘れてしまうことが有るので、あらかじめリストを作って検診の日に持参するのもよいでしょう。
まず、トイレで尿をカップに取るよう指示されます。そのあと体重と血圧をはかり、必要に応じて体温も測ります。診察室に入ったら、まず着衣のままでお話だけ聞きます。たいがいの異常は詳しくお話を聞くだけでだいたいの診断が付くものなので、自分の症状について言いたいことをしっかり伝えます。それがすむと診察衣に着替えて診察です。
診察の順序は人によってことなりますが、私の場合、健康な女性の検診はまず座っていただいて、首にある甲状腺の触診から始めます。つぎに聴診器で心臓と肺の音を聞き、腰痛の有無を確かめます。座ったままで乳房の形や対称を確かめ、乳房自己検診の方法の説明をします。診察台に横たわってもらって乳房の触診をしながら必要があればマモグラム(乳房のレントゲン検査)の話をします。次に腹部の触診をします。それが終わったら内診です。
もし、初めての内診でしたら、あらかじめ言って下さい。どうしても不安になってしまったら、途中で止めても良いのです。 こちらの若い人は、お母さんについて来てもらって、内診の時も手を握っていてもらったりします。
内診は外陰部、膣、子宮、卵管、卵巣に異常がないか調べるものです。外側の皮膚を調べ、外陰部の分泌線が腫れていないか確かめ、膣鏡で子宮頸管を見ます。診察室にはたいてい手鏡があるので、自分の子宮頸管を見ておくのも健康管理の一部です。ここで子宮ガンの検診のために頸管の表面の細胞をへらとブラシでこすり取ります。性病の検査のために綿棒で頸管内の粘液を取ることもあります。膣鏡をはずし、次は双手診です。おなかの上の手と膣内の指の間で、はさむようにして、子宮や卵巣の大きさ、形、堅さ、動き、痛みなどをしらべます。
診察が終わったら、帰る前にもう一度お話します。診察の結果わかったことを説明し、薬の処方があれば何のための薬か説明します。子宮ガンの検査結果や、性病の検査結果は普通、2日以内に結果がわかります。
年齢によっては、これに加えて、子宮の超音波検査、骨の密度の検査、乳癌のレントゲン検査などを処方します。これは自分の保険の利く放射線科に行って検査を受け、私のところに報告書がファックスされてきます。
保険によっては予防的な婦人科受診については払ってくれないものもあります。保険会社から来た説明書にPreventive Careが含まれているかどうか確認しましょう。旅行保険では異常がないかぎり検診の費用は払ってもらえないのが普通です。普通の保険と比べ、旅行保険は掛け金が安いので、その分ぐらいは自費で出しても自分の健康のためには良いのではないか、と思います。また、保険の中には専門医への紹介状を必要とするものがありますが、婦人科検診と妊娠についてはワシントン州の法律で紹介がいらないことになっています。
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