Nadeshiko Clinic
なでしこクリニック
なでしこクリニック なでしこクリニック

ホーム
sapace
なでしこの診療内容
sapace
なでしこクリニックの本
sapace
情報ページ
sapace
なでしこの背景
sapace
お問い合わせ
nadeshiko
なでしこの診療内容
葉更年期

女盛りからの女性の健康

(この稿は11/20/99に行われた日本語補習学校PTA講演の際のスライドをもとにしておこしたものに少し変更を加えてあります。)

講演にいらした方のなかには、20代でこれから妊娠出産をという方、お孫さんのいらっしゃる方や、 男性もまじっていましたが、30代、40代の女性が一番多く、その人たちを対象と考えて話をすすめさせていただきます。 講演の主題は、アメリカで迎える40代とその後ということで、まず、いわゆる更年期の 身体の変化について説明し、 次にアメリカ生活による心身の健康への影響を考えてみましょう。 日本にいる女性とアメリカに住む日本女性では、少し健康にまつわる事情が異なるからです。 その上で自分でできる健康管理についてお話しし、さらに、アメリカの医療の使い方についても少しふれてみます。 せっかく自由と独立の国、アメリカにいるのですから、人まかせでなく自分でできることは自分でして、必要に応じて賢く医療を使いましょう。

女盛りからの身体の変化を理解する

更年期というと40代の後半から50代だけの問題と考えがちですが、実は身体の変化は30代から少しづつ起こっているのです。 生理のパターンが変わる、肌のはりがなくなってくる、疲れや怪我からの回復が遅くなる、などは思いあたる人も多いと思います。 大きな出来事としては、閉経(生理が止ること)があります。 平均閉経年齢は51歳ですが、個人差もあって45歳ぐらいから55歳ぐらいまでの間に起こるのが普通です。 閉経の後一年間は女性ホルモンが急激に減ります。女性ホルモンが急激に減る時に、のぼせなどのいわゆる更年期症状が出ます。 その後70代になるまで女性ホルモンは緩やかに減り続けます。更年期に起こるホルモンの変化はひとつだけではなく、 卵巣から4種類、脳から3種類、副腎から一種類のホルモンが微妙に影響しあって変化します。 また、女性ホルモンは排卵や生理だけでなく全身の組織に関わっており、脳、ストレス反応、骨、皮膚、代謝などが大きな影響を受けます。  ここで一つ大切なことは、この年代の女性は閉経だけに気をとられがちですが、同時に成人病の年齢になってきているということも忘れてはいけません。 更年期が原因で死ぬ人はありませんが、癌や心臓病は死亡率も高く、深刻な問題です。 成人病というのはある程度予防ができるものなので、十分注意を払うことは意味のあることなのです。

気になる身体の反応

 更年期症状というのは人によって様々です。アメリカ人の統計では約80%の人がなんらかの更年期症状を経験し、約40%の人は症状がひどいため受診するとのことです。 日本人は食生活のせいか遺伝のせいかそれほど強い症状が出る人が少ないようです。 ここではホルモンによる更年期の症状と、この年代から問題になる健康障害をあわせて考えてみましょう。
 典型的な更年期の症状というとだれでも知っているのが「のぼせ」です。 40代になって少し生理不順の傾向のある人の間では10人に一人か二人が経験します。 閉経の前後2年間だけに限ってみると40%から85%の人がのぼせを経験すると言います。 短い人では閉経の前一年、後一年ですむ人もあれば、数年から長い人では10年にわたってこの症状に悩む人もいます。 首から胸にかけて赤く熱くなり、汗をかいてそのあと悪寒がするのが一般的な症状です。 同時に不安感や頭の中でパチパチと電気が飛ぶような感覚を訴える人もいます。
 次に多いのが「疲労感」です。これにはホルモンの直接の影響もあるのですが、そのほかに寝不足が大きく影響します。 トイレが近くなって夜中に起きるのも寝不足の原因になります。 のぼせ、発汗も夜中に起こる人が多く、ひどい人になると2ー3時間置きにシーツや寝間着を変えなければならないほどだそうです。 こうなると当然のことながら寝不足になり、いらいらや記憶力の低下にも影響します。
 疲労感は「抑鬱症」に伴って起こる場合もあります。ホルモンの影響で抑鬱症になったと考えられる場合もありますし、状況的な原因がある場合もあります。 自分の親が病気がちになったり亡くなったり、また、知り合いや友達の中に癌になった人が出始めるのもこの年代だからです。
最近では女性ホルモンの変化が脳に及ぼす影響について研究がすすんで来ました。 急激なホルモン変化は脳に害を与え、アルツハイマーになる年齢が早くなるといいます。 その他にも、いらいら、神経質、緊張、不眠症、セックスがいやになる、などもホルモンと脳に関係があります。
 女性性器は特にホルモンに敏感に反応します。若いころにはふっくらとピンク色だった性器もしぼんでペチャっとしてしまい、色も白っぽくなってきます。 粘膜が薄くなり、粘液の分泌も減ってきてセックスの時に痛かったり、出血することもあります。 また、感染症にかかりやすくなり、カンジダ症やバクテリアルバジノーシス(痒くなり、腐った魚のような臭いがする)が起こります。 尿道も女性ホルモンに影響され、閉経後は排尿痛や尿もれに悩まされる人があります。
 心臓血管傷害は成人病ですが、ホルモンが影響します。 女性ホルモンのおかげで閉経までは女性の心筋梗塞は少ないのですが、女性ホルモンが減ってしまうと男性を追い越す勢いで心臓病が増えてきます。 特に、いったん心筋梗塞をおこすと、男性と比べ女性の死亡率の方が高いのです。 乳癌がこわいという考えは一般常識になったのですが、55歳すぎた女性の場合、心筋梗塞によって死ぬ人の数は乳癌で死ぬ人の数よりずっと多いことはあまり知られていません。
 骨粗鬆症は日本でも随分取り上げられ、カルシウムがいろいろな食品に添加されるようになりました。 骨粗鬆症は痛みもあり姿勢が変わってしまって辛い病気ですが、一番こわいのは転んだおりに骨折して、そのまま寝たきりになってしまうことです。
 その他にも、髪が薄くなる、体臭の変化が起こる、舌がぴりぴりする、お乳が張っていたくなる、 めまい、動機、にきび、頭痛など、人によって症状は千差万別です。 また、ホルモンと関係はありませんが、この時期になると老眼が始まり、小さな文字が見えにくくなります。

この年代からの利点

 ここまでの話しを聞くと、「ああ、いやなことばかりだ」と思うでしょうが、この年代ならではの利点もあるのです。 40代50代からは大人としての自信がついて来ます。 母親として主婦として家庭を守って来たひとなら、ひとりの人間をりっぱに育てた、夫の功績に貢献したというほこりがあるでしょう。 仕事を続けて来た人は、このくらいの年齢になると責任のある地位につき、職場や世の中に違いをもたらすという自信があるでしょう。
 実はこうした自信には少しホルモンの関係があるのです。特に閉経からしばらくたつと、 今まで女性ホルモンのかげに隠れていた男性ホルモンが効果を出し始めるのです。 (正常でも男性も女性ホルモンを持ち、女性も男性ホルモンを体内にそなえているのです) 更年期のなんともはっきりしない時期を過ぎたら、こんどは決断力がつき、 はっきりとものを考えられるようになったという人が多いのです。これはおそらく男性ホルモンの影響です。
 生理が止ったからといって、セックスは卒業しなくて良いのです。 特に閉経後は妊娠を気にしなくてすむのでおおらかに楽しめるようになったという人も案外多いものです。 性欲が低下する人もいますが、逆に強まる人も多いようです。 粘液が足りないようなら、アストログライドなどの潤滑剤を使ってみましょう。 それでも痛い場合はホルモンのクリームの処方をもらって外陰部に塗ると全身への服作用もなく、粘膜がよみがえります。
 この位の年齢になると、子供が独り立ちし、子供中心の生活から卒業します。子供が結婚して夫とふたりだけになってから、 「あら、この人と暮らしていかなければいけないの?」ということにならないよう、夫婦のきずなを強めておきましょう。 子供にあまり手がかからなくなったら夫婦で楽しめる趣味を探したり、ゆっくり話し合う機会を意識して作っていきましょう。

アメリカ生活のストレスと解放感

 アメリカ生活にはそれなりの苦労もあります。人種差別はあまり無くなったといっても、 言葉が自由にならないと苦労します。英語が十分でないというだけで一人前の大人として扱ってもらえないことがあったりすると大変くやしい思いをします。 また、言葉自体にはそれほど苦労しなくても、こちらの常識にかけるといやな顔をされます。 アメリカ人だって日本にいけば日本人が普通に知っている常識が全くないのですから別に仕方のないことなのですが そんなことがあるとストレスになります。
 アメリカに来るととたんに世界が広くなる人があります。 知り合いのなかに思いあたる人がいるかとおもいますが、 どこで見つけてくるのか成人教室に通って手芸をならい、和太鼓のチームに入って発表会に出て、 日曜日は教会の催し物に必ず参加し、ボランティアにかけまわり、こんなに安くゴルフができる、 あるいは、こんなに安くスキーができる、と遊びまわり、見ているほうが目がまわりそうです。
 逆に世界が極端に狭くなってしまうひともいます。家族に会えない、電話をしても日本に残った友人とは話しが合わなくなってしまった、 新しい友達はできない、ご主人の会社の人は偉い人たちばかりで気を使わなくてはならない、車が運転できないからどこにも出られない、 困った時に頼りにできる人はひとりもいないという気の毒な人もいます。
 生活習慣そのものもアメリカに来ることによって影響されます。アメリカの食生活は油と砂糖が多く、肥満、心臓病などに悪影響があります。 特に朝ごはんに甘いペストリーを食べるのが習慣になると、腰とお腹のあたりにしっかり脂肪が着くような気がします。 また、車社会のため、運動不足になりがちです。そういう意味では健康に良くないのですが、東京の空気汚染、喫煙率の高さ、過労死のことなど考えると、どっちもどっちという気がします。
 アメリカの医療システムは大変込み入った仕組になっていて、アメリカ人でも自分の保険が何を支払ってくれて、 どんな手続きをしなければならないのか、良くわかっていない人が多いのです。 日本から来たばかりの人が混乱するのも当然です。病気かなと思った時に、日本からは限られた医療情報しか入って来ません。言葉の壁があってこちらの医療が受けにくいということもあるでしょう。 また、アメリカの医療者は日本人の特殊性を考慮しないということもあります。 2ー3年ぐらいだから日本に帰るまで待とうと言って、少し心配な症状があっても医療を受けないという場合もあるようです。

価値観の見直し

 こうした状況の中にいるアメリカの日本女性が40代からの自分の健康を考える際に、 自分にとって本当に大事なのは何だろうということから考えてみることが大切です。 今まで子供中心に生きてきた人は、「母親としての自分」以外に「自分」があるかどうか考えてみましょう。 子供のためだけに生きているのでは、子供だって自分の人生を生きるのに重荷でしょうし、子供が巣立っていったあとに「ぬけがら」しか残らないことになってしまいます。
 妻としての自分も考えてみましょう。子供ばかり見つめていて、お互いのいたわりあいがおろそかになっていませんか? せっかく好きになって、あるいは、縁あって一緒になった人なのですから原点に帰ってお互いをいたわる気持ちを強めましょう。 気恥ずかしいようでも口に出して言ってみないと案外心は通じません。コミュニケーションを良くする努力をしてみましょう。  仕事をしてきた人は、あと何年仕事ができるのか、それまでに仕事の上で何ができるかゴールを決めてみるのも良いかもしれません。 家庭にいた人は子供の手が離れ始めたら、ボランティアでも創作でも、あるいは、学校に行き直して資格を取るなど、 自分が社会に貢献出来る手段がないかどうか考えてみるのも良いでしょう。
 若くなくなる自分に気がついて、もう人生おしまいだと落ち込む人もいます。 人生50年の時代にはそれも良かったかもしれませんが、今は90歳、100歳まで元気で生きる人が少なくありません。 40代50代はようやく折り返し地点に立ったところです。残りの50年のために心身の健康を大切に考えましょう。
 異国で暮らす場合の人とのつながりの大切さは特に痛感します。 日本人はとかく、あの人には義理があるとか、アメリカでは何もできないから恩が返せないとかいう考えを持つ傾向があります。 しかし、限られた期間しかこの国にいないような場合、貸し借り無しのつきあいというのが必要かと思います。 世話をしてくれた人に恩返しをするかわりに、自分が世話をしてもらったら、今度は次に来た人に自分が世話をしてあげるといった形で、 人類の将来への積立ができるようになれば良いのではないかと思います。

健康維持のための生活習慣

 40代からの健康は自分で気をつけているかどうかで随分違ってきます。 若いころには無理をしても身体は回復してくれましたが、これからは、意識して身体を大切 にしないと健康状態に大きな差が出てきます。まず、食事から考えてみましょう。 先ほども話しましたように、アメリカにいるとどうしても脂肪と砂糖の摂取量が増えてしまいます。 ペストリー、肉類、揚げ物を避けると脂肪の摂取量をかなり減らすことができます。 また、魚には身体のためになる脂肪が含まれていて肉よりも魚を中心の食事にするのが良いかと思います。
 納豆、煮豆、豆腐、あぶらげ、などの大豆製品には女性ホルモンに似た物質がふくまれていて、 骨粗鬆症の予防に役立つと言われています。 肉、脂肪、コーラの類の摂取量を減らすことによって、取ったカルシウムがより良く利用されます。 牛乳はあまり効果的なカルシウム源ではないという説もあります。 ただ、日本食で問題になるのは塩分が多いことです。日本人には高血圧も多いので、 塩分をひかえめにする工夫をしましょう。食生活にどうも問題があるけれど、あまり改善できないという人は更年期用のビタミン剤が良いかと思います。
 運動も大切です。定期的に運動をすると、癌、心臓病、抑鬱症の発生率が少なくなり、 骨粗鬆症の予防にも役立ちます。運動を続けることによってバランス感覚が良くなり、 ころんで骨折する事故の予防にもなります。 また、昼間適度に運動しておくと、夜良く眠れるようになります。あまりムキになって過激な運動をするのではなく、 軽く汗ばむ程度の運動を一日30分程度、週に3ー4回すると良いと言われます。
 たばこはやめましょう。癌、心臓病、高血圧、呼吸器の病気など、 自分の健康に害があるばかりでなく、まわりで煙にさらされた人の健康にも害があります。 止めたいけれど自分では止められないという人には、最近では成功率を高める飲み薬もあります。 お酒は適度にしておきましょう。特に夜眠れない人はお酒は止めましょう。 アルコールを飲むと寝付けるのですが、眠りが持続しないので、総合的に見ると睡眠の質と量を低下させることになります。
 身体の健康ばかりでなく、心の健康にも気を使いましょう。 ヨガ、太極拳などでストレスの改善をするのも良いことかと思います。 老いるばかりでもう良いことはないなどと悲観的に考えず、 自分が生きたことによって少しでも世の中を良くしたと言えるよう、また、いろんな人からお世話になった分、他の人にもその恩恵を分け与えるよう、 前向きに生きていきましょう。

アメリカの医療を上手に使うために

 日本では「40歳以上の人は癌検診のために0月0日に保険所へ来てください」という通知が来たり職場検診があったりしますが、 アメリカでは自分で行動を起こさないとだれもそんなことは言ってくれないのです。 自分の主治医、ナースプラクティショナーなどを決めて、毎年健康診断を受けましょう。 自分の持っている保険の説明書を良く読んで、そのリストに載っている医師やプラクティショナーを選びましょう。 リストに載っていない人を選ぶと自己負担が多くなるのが普通です。 保険によってはPreventive Care(病気になってから行くのではなく、定期検診の類)の料金を支払ってくれるものも結構あります。 薬や検査も保険会社によってはらってくれるものと、一部自己負担になるものがあり、保険会社によって違います。 
 検診に行くと、全身の身体検査と共に血圧、体重、血液検査、尿検査などを行います。 癌の検査もその時に行います。女性では特に子宮頚癌の検査(パップスメア)と乳癌の検査も行います。 マモグラムという乳癌の予防のレントゲン検査もすすめられます。 保険によっては癌の検査を毎年払ってくれるものと、一年ないし、2年置きにしか払ってくれない場合もあります。 もし、家族に癌が多い場合など、癌になるリスクが高い場合は担当の医療従事者と相談して保険が払ってくれなくても、 自費で検査をすべきかどうか考えましょう。 主治医によっては骨粗鬆症になりやすいかどうかを予測するために、早いうちに骨密度の検査をすすめる人もいます。 アメリカでは大腸癌が多いので直腸カメラの検査も必要に応じて行います。

更年期症状のためのホルモン

 更年期には女性ホルモンが足りなくなるのだから足せば良いだろうと、 昔は エストロジェンという女性ホルモンを単独で使ったのですが、その結果子宮体癌が増えることがわかりました。 そこで黄体ホルモンという女性ホルモンの一種を足して子宮体癌を予防するようになりました。 最近では更年期のホルモン療法の薬も種類が増え、飲み薬、貼り薬、塗り薬、坐薬、リングなど必要に合わせて使い分けられるようになっています。 ホルモン療法を始める理由で一番多いのがのぼせです。症状の改善が見られるまで量を増やし、それから適切な量まで調整しなおすのが普通です。
 更年期症状がひどくなったけれど、まだ生理があるという人は妊娠の起こる可能性があるので経口避妊薬、いわゆるピルを使います。 ピルを飲んでいると更年期症状はほとんどなくなります。ただし、ピルを飲んでいる間は生理が人工的に続くので、 50歳をすぎたころから毎年一回、脳のホルモン検査をして閉経が起こったかどうか確認して、 更年期用のホルモン療法に切り替えていきます。

疾患予防の為のホルモン

 最近までは更年期障害の治療のためだけにホルモンを使うという考え方が強かったのですが、 いろいろな疾患の予防のためにホルモンを使うという考え方が主流になってきました。 一番確実にホルモンが予防に役立つことがわかっているのは骨粗鬆症です。 特に生理が止まる前後のホルモンの急激な減少を避けると骨がもろくなる年齢がかなり伸ばせることがわかっています。 適切なホルモン量や種類については今研究されているところです。
 最近の研究ではこれに加えて脳の働きに対するホルモンの影響の意味が問われています。 従来老人の大腿骨の骨折は骨がもろくなるだけのために起こることだと思われて来たのですが、 むしろ脳の反射神経がにぶるために転倒の仕方がひどくなり、骨折をするのだという説が出てきました。 この説によると、ホルモンを使うことによって大腿骨の骨折が起こる年齢を伸ばすことができるのは、 ホルモンには骨を丈夫にするだけでなく脳の反射神経のスピードを保つ効果があるからだといいます。 アルツハイマーの発症時期を遅らせる効果もあると言われますが、これも確定的な研究はまだの ようです。
 心臓病の予防にホルモンの効果があることは知られていますが、ホルモンの効果を調べる大がかりな研究の一つで心臓病に対する効果に矛盾する結果がでました。 エストロジェンを使うと心臓病の予防になるのですが、すでに心臓血管に異常のあった人がエストロジェンを使うと、 最初の一年の死亡率がかえって高くなったのです。 その原因についてはいろいろな説がありますが、すでに血管壁に異常があった場合はエストロジェンが効果をもたらすべき受容体に届かないのだという説が有力です。
   ホルモンの害もあります。エストロジェンを使うと血栓症が増えるため、もともと血栓症を起こした人はホルモンは使えません。 胆嚢の流れが悪くなり、胆石が起こりやすくなります。肝臓の悪い人は使えるホルモンが限られます。 すでに、子宮癌、乳癌などの既往のある人は使えないのが普通です。 乳癌はエストロジェンによっても増えるのですが、黄体ホルモンによってもっと増えるという研究結果が最近出てきています。 黄体ホルモンの影響で抑鬱症になる人もあります。統計的に見ると害より益のほうが大きいのですが、 ひとりひとりの事情と考え方によってホルモンが強く薦められる人、ホルモンは避けた方が良いと思われる人などがありますので、 一概にどちらが良いとは言い切れません。

更年期症状のための自然療法

 どうしてもホルモンは取りたくない、あるいはホルモンを使えない健康上の理由がある、などの場合、更年期症状に悩まされる人が自然に対応する方法もあります。 生活習慣の改善はすでに上に述べましたが、食事、運動、煙草を止める、お酒を適度な量にするなどの基本的なことが大きな効果をあげます。 その他に、針、指圧、マッサージなどが更年期の症状に効くといわれています。 薬草も更年期の治療に使われますが、これはホルモンを取っているのと似たようなことだと考えたら良いでしょう。 どんなに自然なものでも思わぬ副作用があることもあるので、信頼できる人のアドバイスを受けてください。

自分の健康は自分が考える

 自分の更年期を予期するのに一番良いのが母親の経験について聞いてみることです。 何歳ぐらいからどんな症状が出て、どんな苦労をしたのか聞いてみると参考になります。 更年期の話しなど、あまり仲間同士でしないのが普通かと思いますが、 思いきって友達に聞いてみると案外似たような経験をしている人も多いものです。 それはどうも恥ずかしくて、という人はインターネットを使って情報を集めてみるのも一つの方法です。 匿名で投書して、知らない土地の人と意見交換をすることができます。 経験談の交換は、「なんだ、自分だけ異常なわけではなかったんだ、皆、こんな経験をしているんだ」という勇気づけになります。

ここまで40代からの女性の健康についていろいろお話ししてきましたが、まとめとして次のようなことを覚えていて下さい。

  1. ホルモンの変化は良くも悪くも心身の健康に影響する
    単に生理が止って妊娠しなくなるというだけでなく、成人病の出始める年齢のホルモンの変化は全身の健康に影響します。
  2. せっかくのアメリカ生活エンジョイしたい
    アメリカならではの苦労もありますし、食生活などは注意したいものですが、思いきって積極的に生きてみましょう。
  3. 自分の健康は自分で守る
    ひとまかせではなく、自分から情報を求め目標を立てて、まだ半分ある人生を元気で楽しめるよう健康を大切にしましょう。
  4. 医療資源を賢く使って
    めんどうな保険システムもいったん覚えて担当の医療従事者を決めてしまえば安心です。たくさん質問して、十分資源を使いこなしましょう。
追記:最近、ホルモン補充療法と乳癌の関係が問題になりました。症状がひどい時には必要に応じて使い、長期の使用は利点と欠点を良く考えあわせて相談の上、選択をしましょう。(Oct, 2002)

「なでしこの診療内容」へ戻る


copyright 2004 Nadeshiko Clinic
10827 NE 68th St Ste E
Kirkland, WA 98033 Phone 206-354-7045
sapace
Site Design by SBWorks, Inc.
sapace
なでしこ
なでしこクリニック